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クリプトスポリジウム症

 クリプトスポリジウムは、原虫類の胞子虫鋼真コクシジウム目に属する直径4〜7μmの非常に小さな病原性の原虫です。(写真:クリプトスポリジウム微分干渉像;東京都水道局ホームページより)
 家畜やペット、野生の哺乳動物の糞便から池や河川、井戸等の環境を汚染し、飲料水や土いじりで汚れた手指等を介した経口摂取により感染し、2〜5日ほど潜伏期間を経て激しい水溶性の下痢を発症し、3日〜1週間ほど続きます。免疫不全者では重篤な下痢症を惹起し、本原虫に対する有効な治療法がないために時として致死的となります。さらに本原虫のオーシストは強い塩素耐性を示すために、しばしば水道を介した集団下痢症を引き起こしています。

クリプトスポリジウム

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1.家畜やペットに寄生するクリプトスポリジウム
 クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)は種々のほ乳類、爬虫類、鳥類の消化管に寄生する原虫で、家畜にはクリプトスポリジウム・パルバム(C. parvum)(牛、豚)、クリプトスポリジウム・アンダーソニ(C. andersoni )(牛)が感染します。
 ヒトのクリプトスポリジウム症の大半はC. parvumの感染によります。感染リスクについては、欧米などいわゆる先進国でヒトの抗体陽性率が30-50%、発展途上国ではさらに高いといわれます。ヒトは大半が感染していると考えられますが、発病して快復しても容易に再感染がおこります。
 ウシやブタなど生産動物も大半がC. parvumに汚染し、カナダの調査では、ウシ飼育農家の50%、糞便サンプルの25%がクリプトスポリジウム原虫陽性、ブタでは90%の農家、25%の糞便サンプルが陽性の成績があります。C. parvumによるウシのクリプトスポリジウム症は生後1〜2週齢の子牛に好発し、症状は灰白色〜黄色の水様下痢、腹痛、沈うつ、脱水などで、ほとんどは生育に伴い回復します。ロタウイルス、病原性大腸菌等、他の病原体との混合感染がある場合は重篤化し死亡することもあり、注意が必要です。一方、豚から検出されるC. parvumはほとんどが豚に特異的な種類で、病原性は強くなく日和見病原体と見なされています。

2.家畜のクリプトスポリジウム症対策
 家畜のクリプトスポリジウム症に対する治療薬はなく、下痢の対症療法として補液、整腸剤、生菌製剤の投与を行います。抗体製剤の飼料添加も有効です。対策として、感染予防のために1ヶ月齢未満の子牛はカーフハッチを利用して個別飼育し、清掃、乾燥を心がけます。感染子牛の下痢便中には1gあたり数百万個ものオーシスト(感染性のある原虫の卵のようなもの)が排出されます。オーシストは湿潤環境では数ヶ月以上生存するため、子牛の下痢便は焼却するなどして環境を汚染しないことが重要です。

3.人獣共通感染症としての対策
 C. parvumの中には人に感染するものがあり、感染牛の糞便の取扱いには特別な注意が必要です。オーシストは水道水の消毒に用いられる塩素では死滅しないため、水系を介した人での大規模感染が国内外で発生しています。畜産農家としては未処理の畜産排水を河川に放出しないこと、体験型牧場やふれあいイベントなどでは見学者・訪問者の手洗いを励行します。オーシストは加熱・乾燥には弱く、70℃以上30分または煮沸1分間の加熱、常温で1〜4日間乾燥することで死滅します。堆肥化の発酵熱でオーシストは死滅しますので、家畜の糞便は適切に堆肥にすることが公衆衛生上も重要です。

クリプトスポリジウム
クリプトスポリジウム(微分干渉顕微鏡・500倍)
(画像提供者:埼玉県衛生研究所臨床微生物担当 
山本徳栄主任研究員)

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