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 人獣共通感染症 関連資料
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  ●重症急性呼吸器症候群(SARS)

  SARSはSevere Acute Respiratory Syndrome の略で、日本では「重症急性呼吸器症候群」
 と呼ばれています。
 2003年2月に、上海と香港を訪れてベトナム・ハノイに行った一人の人が呼吸器症状を示して
 入院した後、病院スタッフらが同様の症状で発症し、感染者数は3月12日の時点で40人以上に
 のぼりました。また香港の病院でも、中国本土からの旅行者をきっかけとして同様の事態が生じた
 ことから、WHO(世界保健機関)は全世界に向けて警告を発しました。
 また、中国広東省では2002年11月16日から2月下旬までに、同様の症例が300人以上発生していた
 ことから、「SARSは2002年11月から中国広東省で始まった」との結論を出しました。
  これまでにSARSの可能性があると判断された人のうち、10~20%の方が呼吸不全などで
 重症化していますが、80~90%の人は発症後6~7日で軽快しています。
 WHOは、SARSの致死率は全体として14~15%との推定結果を公表しました。

 1.病原体
   原因となる病原体はWHOにより新型のコロナウイルスであると決定され、
   「SARSコロナウイルス」と名づけられました。
   コロナウイルスとは、電子顕微鏡で見た場合に、ウイルス表面から花弁状の突起が
   出ていて、太陽のコロナのように見えるウイルスです。動物では、たとえばブタ、マウス、
   ニワトリ、七面鳥などに呼吸器系、消化管、肝臓、神経系などの病気をおこす
   コロナウイルスが知られていました。
   しかし、SARSコロナウイルスは、従来知られているコロナウイルスとは遺伝子的にかなり
   異なるものです。

 2.臨床症状
   主な症状としては、38℃以上の発熱、咳、息切れ、呼吸困難などで、胸部レントゲン写真で
   肺炎または呼吸窮迫症候群の所見(スリガラスのような影)が見られます。
   また、頭痛、悪寒戦慄、食欲不振、全身倦怠、下痢、意識混濁などの症状が
   見られることもあります。

 3.感染経路
   感染経路としては、患者さんに咳や肺炎などの呼吸器症状があることから、
   気道分泌物の飛沫感染が最も重要と考えられますが、種々のSARSの集団発生事例を
   疫学的に検討すると、それ以外の感染経路もありうると考えられます。
   飛沫による感染が主たる経路と考えられるものの、手指や物を介した
   接触感染、糞便からの糞口感染、空気感染の可能性なども、
   完全に否定することはできません。

 4.病原診断
   病原体検査は大きく3種類に分かれます。ひとつは、血液中の抗体を調べるもので、
   これには酸素免疫測定法(ELISA)と免疫蛍光法(IFA)の二つの方法があります。
   あとの2種類はウイルス遺伝子の断片があるかどうかを調べるPCR法と、
   生きたウイルスを培養して分離・同定する検査で、いずれも咽頭ぬぐい液、
   喀痰、血液、便、尿などで検査します。

 5.治療・予防
   有効な根治的治療法はまだ確立されていません。とくに初期には、SARSとSARS以外の
   肺炎との鑑別が困難なので、一般の細菌性肺炎を対象として、抗生物質を中心とした治療
   を行うことになります。
   また、肺病変が進行する場合には、酸素療法や人工呼吸器での管理が必要なこともあります。
   海外、とくに香港では抗ウイルス剤であるリバビリの静脈内注射と
   ステロイド剤の併用療法を行い、効果が期待できるとの意見も出ました。
   しかし、明確な効果が科学的に証明されたと言える段階ではありません。
   ワクチンはまだありません。N95マスクがSARSコロナウイルスの感染防御の点で有効です
   が、普通のマスクでも数枚重ねて飛沫の吸入を防ぐという点で有効である可能性があります。
   最も良い防御法は、流行地へ渡航を避けることです。やむを得ず流行地へ渡航する場合には、
   人ごみを避け、手洗い・うがいを頻繁に行う事が大切です。

 6.ハクビシン等に対する輸入規制等の措置の経緯
   WHOは2003年5月23日、中国産の野生動物種(ハクビシン、タヌキ、イタチアナグマ)から
   SARSコロナウイルスに類似したウイルスが分離された等の調査報告を基に、
   これらの動物に接触する可能性のある者への注意喚起の必要性を公表した。
   経済産業省及び厚生労働省は2003年6月6日、中国(香港及びマカオを含む)を原産地又は
   船積地域とするハクビシン、タヌキ及びイタチアナグマを輸入しようとする者は、
   予め厚生労働大臣の確認を受けなければならないこととした。

   環境省が実施したハクビシン等の取扱実態に関する調査結果によると、
         全国の動物取扱業者における過去3年間の取扱実績延べ数は、ハクビシン287頭(うち中国産2頭)
   タヌキ315頭(うち中国産2頭含む)であり、イタチアナグマの取扱実績はなかった。
   2003年7月4日付け政令でSARSが指定感染症及び検疫感染症に指定され、
   7月14日から1年間の期限でハクビシン、タヌキ及びイタチアナグマが輸入禁止となった。
   改正感染症法が、2003年10月10日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
   SARSを危険度が最も高い1類感染症に指定し、患者だけでなく感染の疑いのある人まで含めて
   入院などの強制措置が取られるようになった。
   また、新たに設けられた新4類には、主にこれまで強制措置が取れなかった動物が原因と
   なる感染症を当てはめ、原因となる動物の輸入禁止や駆除の措置を取れるようにした。

   国立感染症研究所は2003年10月23日、国内で冷凍保存されていたハクビシン24頭の
   腸管を検査したが全て陰性であり、ウイルスを体内に宿し人間への感染源となる動物
   としては当初候補に挙げられたハクビシンなどは疑問があり、
   感染源探しは振り出しに戻ったと公表した。

 
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