人獣共通感染症 関連資料 |
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●狂犬病 |
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犬の狂犬病は、感染症法において第4類に定められており、
人と動物の共通感染症として重要な病気であります。
そのため、診断した医師は7日以内に保健所に届け出なければなりません。
日本では昭和32年のネコの発生を最後に狂犬病の発生はありません。
(イヌの発生は昭和31年が最後)。
しかしながら、WHOの報告によると、全世界で毎年55000人が狂犬病によって死亡しています。
また、暴露後ワクチンの接種者数は年間1千万人に上ります。(2004年)
狂犬病の犬にかまれて感染することが多いので、犬の病気と認識されやすいですが、
他の哺乳動物からも感染することがあります。
アメリカではアライグマやコウモリ、スカンク、ヨーロッパではキツネ、
アフリカではジャッカルやマングースが有名です。
またネコや馬、牛なども原因になることがあります。
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1.病原体
狂犬病ウイルスはラブドウイルスの一種です。
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2.感染様式
主に感染した動物にかまれた傷口からウイルスが侵入します。
ウイルスは軟部組織から神経細胞を伝わって脳に移行し、脳内で爆発的に増殖し、
中枢神経障害があらわれます。また唾液腺内でも増殖し、唾液中にウイルスが排出されるようになります。
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3.症状
犬の場合は、狂犬病に感染すると2週間から2カ月程度で発病します
(中には早いもので3日、遅いもので150日もかかって発症した例もあります)。
むやみに歩き回り、柱や石などの物体にかみついたり、地面を無意味に掘る、
狼のような特徴的な遠吠えなどの異常行動をとります。
麻痺は末端から始まり、次第に脳に近づきます。また中には、興奮の症状がみられず、
いきなり麻痺が始まることもありますが、最終的には昏睡状態から100%死に至ります。
イヌはヒトのように水を恐れるいわゆる恐水症の症状は見られません。
人の場合は、潜伏期間は7日から数年で通常は2週間から80日程度です。
発病するかどうかはかまれた傷口の大きさや体内に入ったウイルス量などで大きくかわります。
症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、
かまれた部位の異常感覚があります。
ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、嚥下困難などが起きます。
液体を飲むとのどがけいれんを起こし、非常に苦しいため水を怖れるようになります。
これが別名恐水症といわれる所以です。犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、
大量のヨダレをながし、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡します。
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4.治療方法
人に感染の可能性があった場合、医師に相談し速やかにワクチン接種による治療を
開始する必要があります。
接種に先立ち、侵入ウイルスを減らす目的で傷を流水と石鹸でよく洗浄することが肝要であります。
噛んだ犬を捕獲し、14日間の観察後狂犬病でないことが判明すると、
ワクチン接種を途中で中断することも可能であります。
狂犬病は、いったん発病したら治療法はなく、100%死亡します。
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5.予防
有効な予防策を立てる上で、疫学的な感染形態は重要です。一般的に森林型と都市型に分けられます。
森林型は野生動物間で流行したものが、伝播されるタイプですが、
日本では野生のキツネやオオカミなどが少ないため、
蔓延したことはありません。
都市型は犬を中心に生活している環境下で、野生動物の流行なしで伝播するものです。
日本ではこのタイプに該当します。
現在、国内における狂犬病予防注射接種率は40%以下と推測されており、仮に狂犬病が侵入した場合、
国内での蔓延を防ぐことが疑問視されております。そのため、都市型の狂犬病を予防するには、
法律で定められた狂犬病予防ワクチンを毎年接種することが非常に重要です。
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6.検疫
最近の小型犬ブームを背景に輸入頭数が増加しており、海外から狂犬病を持ち込むことが
心配されております。
このため、農林水産省では狂犬病予防法に定める犬等の輸出入検疫制度が見直され、
180日の待機期間の設置やマイクロチップの導入及び血液抗体検査等が義務付けられました。
詳しくは厚生労働省や農林水産省等のホームページをご覧下さい。
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